【マキタ LC0700F】チップソー切断機を買ってみた
皆さんはチップソー切断機って知ってますか?見た感じ高速切断機や卓上マルノコに似てますよね。
基本的には金属を切る機械ですが丸刃を交換して木材のカットもできます。硬い木材の場合は金属用の刃のままで切ります。
今回ヒデが購入したのはマキタ 190mmチップソー切断機 LC0700Fという機種です。丸刃次第ですがスチールアングルからアルミサッシまで切断できます。
この記事ではチップソー切断機でできる事や他の工具との違い、使ってみた感想などを紹介します。
田舎暮らしのDIYに役立つこと間違いなし
チップソー切断機とはなにか
チップソーは円形のノコギリの刃先に硬質のチップをつけたものです。通常のマルノコや草刈機で使っているのもほとんどチップソーです。
チップソーを使わない場合は単に金属刃になります。金属刃は刃先を研いで使えます。その刃先の部分に超硬質の素材で作ったチップを取り付けて色々な素材を切るのに特化させたものがチップソーです。
そのチップソーを使って据え置きの卓上丸ノコのように金属を切る工具がチップソー切断機です。
色々な電動工具にチップソーが使われているわけです。丸ノコ、スライド丸ノコ、卓上マルノコ。防塵マルノコ、丸ノコ盤、チップソーカッタ、チップソー切断機、草刈り機、などなど。
ではなぜ、チップソーカッタと切断機にのみチップソーの名が付いているのか?
それはヒデにも分かりません。
しかし推測するにチップソーカッタと切断機以外の木材を切る目的の工具は金属刃の時代から進化してきたもので、より切れ味を求めてチップソーを使うようになったのだと思います。
一方金属を切る目的で作られたチップソーカッタと切断機はチップソーを使うのが前提でありチップソー無しでは本来の目的である金属の切断ができないものです。そのため名前にチップソーと付いているのだと思います。
チップソー切断機は主に金属の切断に使われるので耐熱性、耐久性を兼ね備えた部品、構造になっています。また、焼け防止のため丸ノコ類よりも回転数が低いのが特徴です。
丸刃工具類の分類
丸ノコの卓上版が卓上丸ノコやスライド丸ノコです。丸ノコの金属切断に特化したのがチップソーカッタで、その卓上版がチップソー切断機になります。つまり卓上丸ノコの金属用といった位置づけになります。
チップソー切断機とよく似たものに高速切断機があります。見た目もよく似てますし用途も近いです。違いは丸刃です。高速切断機に使われているのは厳密には刃でなく砥石です。砥粒を結合剤で固めた研削砥石というものを回転させて金属を削りながら切断するのです。
ディスクグラインダーの卓上版が高速切断機なのです。
チップソー切断機を使うメリットのひとつは切り口が綺麗なことです。切り口の面取りだけして終わりにできるのが魅力です。もうひとつのメリットは火花が少なく音も静か(比較的)なことです。これはかなり違います。
住宅リフォーム科の授業で軽天を組む過程で高速切断機による切断がありました。もの凄い音と火花がハンパない状態でかなりビビります。粉塵もかなり出ます。
隣の人に大声で話しかけても聞こえません。ポツンと一軒家でもなければ間違いなく近隣からクレームがくるでしょう。また、切り口もバリが多くその後の加工に手間がかかります。
ではなぜ工事現場などでは高速切断機多く使われるのでしょう。それは研削砥石の耐久性にあります。研削砥石のディスクはかなり小さくなるまで使えます。家庭で包丁を研ぐ通常の砥石が小さく減っても使えるのと同じです。コスパが良いわけです。
また軽天材などの切り口に綺麗さは求められませんし、現場で大きな音も問題にならないからだと思います。
一方チップソーは切れ味が落ちたら基本交換です。ステンレスなどを切るチップソーは1枚5~6千円はすると思います(190mmで)。300mmなどの大きなものは1枚数万円するのでコストがかさみます。
高速切断機に使う研削砥石はチップソーより価格が低く長く使えます(銘板のシールのところまで使える)。
ヒデが今回購入したLC0700Fはインナフランジというパーツを使うことで研削砥石にも対応できると取説に書いてあり、オールマイティーだなぁと思いました(使う事はないと思いますが)。
ヤフオクで購入
趣味で使う真鍮材を切断するのが第一目的でした。スロライ工房にある工具はほとんどが木工用です。レシプロソーに金工用を使えば金属を切れますが精度が悪く切り口も粗いです。ディスクグラインダーでも切れますが真っ直ぐ切るのは難しいし、切り口の粗さも気になります。
高速切断機もうるさくてさすがに無理だな~って思ってたところにチップソー切断機を知りました。
購入したのは新品ではなく中古です。北海道のリサイクルショップでした。¥16000です。新品の実売価格は¥32000前後だと思います。少しサビがありましたが状態は良く、綺麗な方だと思います。付属のチップソーは予想通り欠けていて使い物になりません。
新たに用意したチップソーには低騒音軟鋼材用とあります。
定価¥9900とありましたが実際には¥5000位で買えます。
軟鋼材とは炭素量が少なくあまり硬さのない鉄材。一般的な鉄材のことだと思います。その他、真鍮やアルミなども切断できると思いますが極端に薄いものは当て木などをしたとしてもうまく切れないかもしれません。
薄板板金用やアルミサッシ用、ステンレス用などがあるので必要に応じてチップソーを選ぶ必要があるようです。
早速用意した真鍮材を切ることにします。
不具合が発覚 中古をネットで買うリスク
真鍮棒を切ろうと台座に乗せて初めて気づきました。材料を押し当てるガイドフェンスなるパーツが偉そうに後ろにふんぞり返っているではありませんか!!かなり厚みのある鉄製のパーツです。どんな使い方をしたらこんな風に曲がるのか?
ガイドフェンスと材料の間に隙間ができています。隙間があると回転するチップソーに押されて材料が曲がったり、切断の最後で切り口が歪んだりします。材料はガイドフェンスにピッタリ着いていなければなりません。
中古品をネットで購入する場合写真がほぼ全てです。個人販売で良識のある方の場合は不具合の内容を明確に記している場合もあります。後々のトラブルも嫌ですから。
しかしリサイクルショップや中古道具店などの場合は丁寧な動作確認などしないことが多いと思います。電源が入ることだけ確認してあとは写真で判断して購入してくださいね、というスタンスです。その分安く買えるとも言えますがギャンブル性が高まります。
今回の場合ガイドフェンスの曲がりは写真で確認できています。しかし使ったことのない道具の場合、それが不具合だと気づかない場合が多いと思います。ヒデも全く気づきませんでした(-_-;)
例えばモーター類の回転軸の歪みなどは実際に使用してみなければ気づかないかもしれませんし、修理代も高くつきそうです。「精度を要求される道具類は新品で買うのが安心である」と改めて思いました。
逆にとりあえず切れればなんでもいいとか(チェーンソーも中古で買いました)鉄のかたまりだから壊れそうにない、とかいう道具は中古も積極的に探してみようと思っています。
とりあえずネットで部品が買えるか調べて取り寄せることにしました。修理に出さずに自分で交換できそうです。価格は¥1800、高価でなくてホッとしました。
今回は木製の角材を当ててそれごと切ることとします。
真鍮角棒を切断してみる
チップソーの厚みが2ミリほどあります。残したい部分の墨の外側へチップを当てるようにします。残したい部分が左にあるとチップソーを下げた時に墨が見づらくギリギリに合わせにくいのが難点。
真鍮材とガイドフェンスの間に細い木材を挟んでバイスで固定します。試しに木材なしで切ってみたら見事に曲がりました(笑)。
真鍮は銅の合金で柔らかいのでなんの手ごたえもなくふっと切れます。素材的にはアルミサッシ用のチップソーの方が向いてるかもしれません。切る材料を限定していない場合は軟鋼材用、ステンレスや焼の入った鉄を切る場合はステンレス兼用などがいいと思います。
断面が垂直になっていない場合は後ろにあるハンドルを緩めてガイドフェンスを動かします。丸刃とガイドフェンスにスコヤを当てて垂直にしてから締め直します。
しっかり固定できれば数本まとめて切ることもできます。真鍮の場合8本まとめて切ってもやはり手ごたえはほぼありません。
切り口は非常にきれいで満足しました。軽く面取りするだけで使えます。たまに顔面に切りくずが飛んでくることがあるので保護メガネを忘れずに。
木材カット
スロライ工房には丸ノコはあるけど卓上丸ノコやスライド丸ノコはありません。ずっとスライド丸ノコが欲しいと思ってたけど今はチップソー切断機を卓上丸ノコとして使えるならそれでいいかなぁと思っています。
スライド丸ノコでカットできる板材の幅は30センチ強です。価格の割にアドバンテージが低いと感じるのはヒデだけでしょうか。あ、斜め切りもできますね。
住宅リフォーム科の授業で使ってましたがほとんど卓上丸ノコと化してました(笑)。
通常の角材、根太とか野縁に使うような太さのものを正確に直角に切ろうと思うと丸ノコは少しめんどくさいのです。角材1本だけだとガイドを沿わす距離が短くて矩(かね)が出しにくいからです。なので卓上丸ノコとして使えるチップソー切断機はかなり重宝すると思います。
金属の場合厚いものやかたまりは切断できません。木材なら刃の直径から考えて50ミリはいけそうです。
試しに60ミリ角の木材も切ってみました。今回は木工用チップソーの用意がないので金属刃のまま切ります。
SPFなどの柔らかい木材は木工用のチップソーを使用した方が綺麗に切れそうです。ヤニも多そうなので木材は木材専用のチップソーを用意することとします。
最後の部分でガイドフェンス曲がりの影響がでました。少し焦げたような色とわずかな段差ができています。木質によっては欠けるかもしれません。
新しい部品が届くまでなんとかできないかと思い試しにウオーターポンププライヤーで起こしてみたら簡単に曲がりました。
本来の位置まで垂直にすることはできませんでしたがだいぶマシになりました。こんなに簡単に曲がるなんて以外です。
材料がチップソーに噛んだときにモーターを傷めないように、もしくは台座が歪まないようにガイドが曲がって力を逃がすのかもしれません(想像です)。いずれにしても消耗品と言えそうです。
次に少し幅広の板も切断してみます。
この板は厚みが20ミリで幅が90ミリあります。角材だけでなく幅広の板材もカットできれば用途が広がります。
余裕で切れました。この厚みであれば120ミリ幅くらいまで使えそうです。柔らかい材だったので切断面がすこし粗くなりましたが鋼材用の刃なのでしかたありません。
今後本格的に住宅のリフォームに着手するのでガイドフェンスさえ交換してしまえば卓上丸ノコとして活躍してくれると思います。
ガイドフェンス交換
注文していたガイドフェンスが到着しました。税込み¥1804でした。ネットで電動工具の部品を購入できるサイトは非常に限られていると思います。今回購入したのはビルディというショップです。
ビルディは鹿児島に本社のある会社が運営している工具類の大規模ウエブサイトです。よく工具類の調べ物をしていると比較や解説の記事に出会います。
無料会員登録は必須ですが電動工具の部品を取り寄せできる数少ないサイトなので紹介しました。記事類の内容もなかなか充実していて参考になるものも多いと思います。
ガイドフェンスの交換手順
交換には6ミリの六角レンチが必要です。丸刃を外した方が交換しやすいだろうと思い外してあります。
かなりキツかったのでエクステンションチューブで延長して緩めました。
薄いワッシャーが1枚入っているので無くさないように。
続いてハンドル側を外していきます。
ドライバーでハンドルを外して出てくる六角ボルトは手で外します。
こちらもワッシャー1枚入ってます。軽く掃除してグリスを少々。
あとは新しいガイドフェンスを外した時の逆の手順で組めば完成です。再び垂直を合わせ直して終了。
交換後の試し切り
ガイドフェンスが真っ直ぐなので当て木なしでカットできます。新たに真鍮を買い増ししたので今回は思い切って13本の2段重ね、男の26本切りやってみます。
撮影してたので途中で粉末浴びたのと手ごたえが少しあって一瞬ためらいました。以前8本で切ったときは全く手ごたえを感じなかったけど今回の26本はさすがに切ってる感じ伝わってきました。
この切り方だと材料の束の平面に丸刃(チップソー)が当たってるけど、推奨される切り方は材料の角から切り始める方法です。高く積んで幅を狭くしたり、当て木をして角から当たるようにするとチップが長持ちするそうです。
鉄やステンレスの場合は特に必要になりそうですが、真鍮は柔らかいので今回は無視しました。
画像引用|マキタ
とにかくきれいに切れて良かったです。金属類の切断で整った断面を得るのにチップソー切断機は最適ですね。
ちなみに切るときは右手で丸刃を降ろして体は左側にいないと顔に粉末が飛んできて金ラメ状態になります。
金属ゴミや剪定枝の処分にも
長くて捨てにくい金属系のゴミの処分にも使えそうです。丸パイプであればパイプカッターでクルクルできますが、アングルや角材はレシプロでギコギコするしかありません。据え置き型でサクサク切れると作業もはかどりそうです。
また、スロライ工房では剪定枝はほぼ全て薪にしてるのですが、剪定よりも後から切り揃えるのが大変なのです。切り揃えないと薪棚に乗らないし、もっと短くしないと焚火台に入りません。電動チェーンソーなんかもあるのですが小枝の大量玉切りには向いてません。
卓上丸ノコなら安全性も高いのでママにも手伝ってもらえそうです。
まさに田舎暮らしのDIYにぴったりなアイテムだと思います。
ではまた。