【屋外水道】メッキパイプと研ぎ出し流しで作ってみた
低すぎる屋外水道は使いにくくて疲れるだけでなく腰も痛めます。
畑仕事やDIYなど使用頻度が高いだけに何とかしたいと思っていました。
ということで元からある流し台を撤去して新たに自作した台と研ぎ出し流しを設置しました。
考慮したのは以下の通りです。
- 水栓柱はどうするか
- シンクは何を使うか
- シンクを乗せる台をどうするか
- トラップを設置するか
- 排水管接続に関して
今回メッキパイプを使って台にしています。長さと太さのバリエーションがあって色々活用できると思います。
無骨な見た目になりすぎることと、水平垂直に組み立てにくいのが難点ですが。
簡単に加工できてサビに強いので屋外のDIYに向いていると思います。
使いやすく改良するよ
現状確認
なんとも珍しいコンクリート製のシンクです。おそらく前の家主の自作です。すごく重くてとても1人では持ち上げられません。ちなみに前家主は建具屋をやっていた方で浄化槽の設置とかも自分でやる強者です。
シンクの底の位置は地面から25センチ程です。この低さが問題で、今回改造する事になりました。
シンクの位置を高くしたいのでバケツの水汲みや足元の洗浄に使えるように散水ノズルを固定して使えるようにしたいです。
土台に使っているコンクリートブロックの穴からヤマカガシがはい出してきたことがあります。
風通しと陽当たりのいいシンク下、害虫やヘビなどが潜む要素の無い屋外水栓を目指します!!
既存の水栓柱を使う
屋外水道の多くには水栓柱が使われていると思います。ここに元からある屋外水道も水栓柱が使われていました。
高さが足りないなどの理由で新たな水栓柱を設置する場合は給水管の工事が必要になります。給水管の接続し直し自体はそんなに難しいものではありません。
職業訓練校でもVP管の接続等を学びましたが、少し覚えれば誰でもできると思います(漏水等の責任は伴いますが)。
しかし今回は既存の水栓柱をそのまま使うことにしました。
一番大変な作業だと懸念したのはコンクリートのハツリ(壊し)です。水栓柱の周りのコンクリートを破壊して、さらにVP管の接続に必要なスペースの土を掘り出し、埋め戻した後にまたモルタルを打つ。
土を掘る作業はとても大変ですし、ハツリも時間がかかりそうです。週末のみで終われるか不安だし、その間は外水道も使えなくなるので既存の水栓柱を活かすことにしました。
シンクに研ぎ出し流しを使う
屋外水道をリニューアルするにあたってホームセンターのエクステリコーナーを見て周ったり、WEBで検索したりしたのですが、ちょうど良いサイズや素材感の製品が見つからずにDIYする運びとなりました。
希望はこんな感じです。
- その1 元のコンクリート製のシンクに近い大きさで腰をかがめずに使える高さ
- その2 散水ノズルや水回りの小物を工夫すれば取り付けできそうな拡張性
その1に関してはタキロンというメーカーの「研ぎ出し流し」が求めてるシンクに近かったので使うことにしました。
その2に関しては台の作りの話になるので後ほど。
購入した流し
タキロンの研ぎ出し流しにはデラックスとスタンダードがあります。
デラックスはオーバーフロー用の排水口があり、小物が置けるスペースも付いています。さらに水栓柱用の切り欠きもあります。
しかし今回は水栓柱が側面に来る配置にしたかったので切り欠きの無いスタンダードを選びました。元のコンクリート製に形がそっくりです。
幅750 奥行き500 厚み170で重さが17キロ、レジンコンクリート製だそうです。レジンコンクリートってなんだ?初めて目にしたので調べてみました。
レジンコンクリートとは、セメントと水といったセメント水和物を一切使用せず、結合材である熱硬化性樹脂(液状レジン)に乾燥させた骨材及び充填材(フィラー)を加えて練り混ぜて固めた材料です。
引用|日本レジン製品協会
圧縮、曲げ、引っ張り、耐食性、水密性、耐摩耗性、遮塩性、接着性などに優れた素材とのこと。
定価¥17500、ネットで最安で買っても¥9000ちょっとします。なかなかお高いなぁと思いながらも購入しました。
メッキパイプで台を自作する
研ぎ出し流しの750幅を設置できる台はなかなか売ってません。直置き前提なのかもしれません。
タキロンの樹脂製流しスタンドはデラックス専用なので使えません。金属製の流しスタンドはスタンダードの750幅用をラインナップするも高さが低くく(おそらく40センチ位)不採用。
WEBで検索して見つけた一番高さのあるスタンドでも450(45センチ)。それに本体170を乗せても620程なので少し低いです。理想は700〜750の間。
何とかして8センチ高くする方法も考えました。ブロックやレンガなどに乗せるとか、スタンドの足そのものを延長するとか。その過程でメッキパイプで作ることを思いつきました。
足場に使う単管パイプ(48.6ミリ)より細い38.1ミリが倉庫に余っていました。このサイズは農業資材として使うことが多いようです。
亜鉛メッキの特徴
メッキパイプのメッキは単管パイプと同じ亜鉛メッキです。通称ドブメッキとも呼ばれる亜鉛メッキは雨ざらしでもサビにくく、ピンホール的に自金の鉄が露出することになっても、亜鉛の方が優先的に腐食して鉄を腐食から守る作用をします(犠牲防食)。
そんな優れたメッキパイプを使わない手は無い!!と意気込んでホームセンターに買い足しに行った時に31.8ミリがあることを知らずに間違って数本買ってしまいました。38.1と31.8。似てると思いませんか⁉︎
他にも42.7ミリや25.4ミリなんてのもありました。今回はたまたま余り物のサイズに合わせて38.1ミリを使っています。
パイプカッターで切断
単管パイプでもメッキパイプでも切断は断然パイプカッターが便利です。
大きめのパイプカッターがあれば真っ直ぐ、綺麗に、静かに、簡単にカットできます。
1周目の刃が元の位置に戻って来ない場合は締め付けが弱いです。また締め付け過ぎると回すのに苦労します。切り口のバリをリーマー等で取るのを忘れないようにしてください。
髙儀 パイプカッター GISUKE TPC-100クランプのサビについて
メッキパイプがサビに強いのは前述の通りですが、クランプについては注意が必要です。
多くのクランプは金色風味のメッキがされており(何メッキかは不明)雨ざらしではかなり錆びます。クランプがサビ過ぎて単管パイプまでサビだらけのフェンスや支柱など見かけたことはないですか⁉︎屋外水栓、水回りには不適格な気がします。
単管サイズの48.6ミリ用においては、高価ですがドブメッキなどの耐腐食メッキされたクランプも存在します。しかし、メッキパイプサイズのクランプでそのようなものは見つけることができませんでした。
ローバルについて
代わりに採用したのがローバル(ROVAL)です。
ローバルは、溶融亜鉛めっきと同等のさび止め効果が得られる「常温亜鉛めっき」です。
引用|ローバル
実際には亜鉛粉末の入ったサビ止め塗料です。ジンクリッチの呼び名の方が有名ですね。
ローバルは筆塗り用とスプレーがあります。今回筆塗りして1週間ほど乾燥させましたが被膜の食い付きが弱く爪でこすって取れる感じでした。塗布前にパーツクリーナー等で洗浄するべきだったかもしれません。
サビキラープロについて
僕がサビ止めでよく使うのはサビキラープロです。軒の建材を止めるボルトや折板屋根のボルトなどもこれを塗りました。2~3日乾燥させるとガチガチに固まってくれます。1週間経過したものにインパクト+真鍮ワイヤーブラシをかけたことがありますが全く平気でキズも付きませんでした。
なのでローバルもそんな感じかなぁと勝手に思い込んでました。組み立て途中に色々ぶつかってかなり取れてしまいましたが、また後日上塗りする予定です。
1か月くらい経過したローバルはかなり被膜が硬く、簡単には取れずらくなってました。ローバルの良い所はメッキパイプの亜鉛メッキと色味が近いところです。事前の洗浄と塗布後の乾燥をしっかりすれば使えそうです。
組み立て
研ぎ出し流しスタンダードは前面と背面で高さが違い、側面は段差があります。そのため前後の辺の返し部分が引っ掛かる構造としました。
前後の高低差は約40ミリなので台の方も40ミリの高低差を設けて組み立てます。
パイプ類をクランプで組んで台を作る場合、逆さまに組んで後でひっくり返す方法がやり易いです。特に今回のような重量物が乗る場合はそうです。
丈夫な台を用意してシンクを逆さまに置きます。切りだしたパイプ2本を前辺と後辺にピッタリ沿わせ、側面でその2本をつなぎます。
クランプには直交型と自在型があるので直角につなぐ所は全て直交型、それ以外は自在型を使っています。
次に垂直方向に4本立てます。前面に使う2本より後面の2本を40ミリ長く設計します。直交型を使ってもガタがあるので垂直とは限りません。マグネット付きの水準器を使って確認しながら締め付けます。
新潟精機 SK 超磁力レベル マグネット付 100mm立てた4本をつなぐ水平方向のパイプを連結します。
前後や左右の対になるパイプはできるだけ正確に同じ長さで切るようにします。すると連結の時にパイプの端からクランプまで何ミリ、とか決めて固定できます。対になるクランプ間の距離を計測するより楽で早いです。
斜めの筋交いを入れて補強します。4面全てに入れるつもりでしたが2本で十分強かったので最終的に2本しか入れてません。
パイプの端部は怪我の防止と美感を兼ねてキャップをつけます。クモやトカゲなどの小動物も入りたがるので絶対付けたいです。ホームセンターで売っているビニール製の物は切断面を覆い隠すのでサビに強いかもしれません。(真夏の気温が高い日には管内の空気が膨張してビニールキャップを押し飛ばす事例が発生しました。)
ですが、見た目がイマイチだったので探して見つけたのが写真のキャップです。これは良かったです。サイズも豊富ですっきり納まります。
ELESA パイプ用エンドキャップ PEC-T38-GR ( PECT38GR )いざ設置へ
設置する場所がよほど水平の場合は問題ないですが、大抵は調整が必要になります。コンクリートの犬走りなどでも水勾配が2%ほどついているのでそのままではシンクの端に水が残ります。
ベース(足)について
設計段階では足場の単管パイプに使う自在ジャッキベースを使う予定でした。これは斜めに設置できて高さも変えられる優れモノ。これを4本使えばどんなに傾いていても回して調整するだけです。
意気揚々と4本用意していざ設置しようとして絶句しました。自在ジャッキベースの支柱がパイプに入りません。
ジャッキベース類には中が空洞のものと棒状の2種類があって、空洞のものは太くて38.1ミリのメッキパイプには入らないのです。
棒状の支柱を採用している固定のジャッキベースが2本あったので合わせてみるとこちらはは入ります。しかし2本だけではバランスが悪いのであきらめてシンプルな固定ベースを4本使うことにしました。
ひとまず固定ベースの下に木片やゴム板をしいて調整することとします。
トラップを導入する
元々の屋外水栓にトラップ(封水)はありません。屋外では必須ではないのかもしれません。しかし汚水の臭気が上がってくるのは事実ですから採用することにしました。
今回のような形状の水栓に採用しやすいのはS字トラップです。ジャバラのホースをS字に曲げて固定するだけでも十分機能しますが、カッコつけて汎用品を用意しました。
うっかりオーバーフロー用排水口のあるものを用意してしまったので横穴が空いています。研ぎ出し流しに付属の排水口と組み合わせて使うことにしました。
一応シールテープを巻いて固定します。飛び出しが短くてギリギリですが何とかトラップと接続できそうです。
排水管を接続する
犬走りから立ち上がっている排水管はVUの50ミリです。そこへトラップから伸びたジャバラホースを差し込み防臭パッキンで塞いで完成になります。
ところがジャバラホースがVUまで届きません。部材を用意するまでの応急処置として雨どいに使う50ミリのパイプとエルボがあったのでつなぎます。
雨どいに使う部材は屋外使用前提なので紫外線に強く劣化しずらいと思います。VUにもピッタリ入るので最適解では⁉︎と思いましたがエルボからポタポタ漏水します。
雨どいのエルボは可動式で角度調整ができるようになっています。そのつなぎ目から漏水していました。つなぎ目をうまく処理できれば埋設しない排水管として使用できる場合もありそうです。管が薄く強度は弱そうなので荷重のかからない所限定で。
終わりに
好きなサイズで丈夫なフレームを組めるメッキパイプはDIYの可能性を広げてくれそうです。
いきなり切り出したりせずに、簡単な図面を書いて各部のサイズなどを書き入れてから組み立てに入ると失敗が少ないです。
ひとまず使用できるように応急処置を駆使して設置しました。今後の改良点として考えているのは次の通りです。
- 腐食に強い素材を使ったベース下
- 未塗装のクランプへのローバル塗装
- 使いやすい蛇口への交換
- 排水管漏水の改善
- 散水ノズルの固定
などです。
これらは今後、第2弾として公開するつもりです。いつになるかは未定ですが。
以上、参考になれば幸いです。
ではまた。